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レッドウッド、護り育まれた伝説

学名、セコイア・センペルヴィレンズ。その名は、現在レッドウッドが唯一自生するカリフォルニア・コーストに伝わる高名なインディアンに由来します。セコイアは転じて「世界爺」との当て字でも表現され、現存する最古の種として生物学ほか様々な分野の有識者から尊敬と注目を集めいています。

かつて恐竜時代には北半球を覆っていたとされるレッドウッドも、現在は環境の変化を経てカリフォルニア・コーストの海岸線よりおよそ35km、南北700kmの帯状に群生するのみとなりました。近年では世界遺産に登録されたその野生の森がより厳格な保護下に置かれたことにより、地球の歴史そのものと云うべき局地的環境の保護と、ごく限られた、かつサステイナブルな産業利用により管理されています。

レッドウッドの特徴はその歴史の長さのみに留まりません。樹高は100mを、幹の胴囲25mを突破する個体もあり、樹齢にして推定2000年以上、それほど古い個体ばかりでなくとも現地の森には80mクラスの途方もない巨体が見渡すばかりにひしめきます。

レッドウッドは毎年およそ1mずつ樹高を伸ばし、体積の増加は年数とともに加速していきます。その恐るべき成長は地中から凄まじい量の水を吸い上げ、高く伸びた樹冠は西海岸の海風から雲をかき取り、蒸散などの結果300mmの雨量にあたる水を地表に循環させ、ひいてはそれが局地的な生態系をも形成します。

巨大かつ急成長するレッドウッドにより周り一帯が暗い湿地帯と化すことで他の樹種の生存が困難になるばかりでなく、およそ30年に一度のペースで起こる山火事~レッドウッドの樹冠が避雷針のように機能する~では辺り一帯が焼き尽くされたのち、分厚い樹皮の「表面に火傷を負った程度」のレッドウッドが熱の効果によって上空の松かさから種子をばら撒く、といった少々恐ろしい繁殖方法など様々な要因から、この樹種がある程度集まることで植物間の生存競争そのものが存在しなくなるという特性があります。

生存競争がない、環境適応より環境そのものを作ってしまうこの樹種にとって、最もその生命を脅かすものは「自壊」つまり大型の樹木に度々見られるように、長い寿命の中で自らが腐ってしまう可能性ですが、その点さえも克服したレッドウッドが有するタンニン酸と呼ばれるポリフェノールによる強力な殺菌能力が、転じて建材となった時に木材として類を見ないほどの防腐性能として機能します。

有史以降レッドウッドは神の樹とされ、アメリカ西海岸の原住民により信仰の対象とされました。次いでゴールドラッシュの時代には金鉱目当てに東海岸から侵攻した現アメリカ人がこぞって建材として利用し、その強く美しい材質が知られるようになるとともに、この樹種の保護が切迫した問題として叫ばれるようになりました。高い樹冠から遥か人類史を見守ってきたレッドウッドは今日現在、前述のように完璧に管理された循環で現地の生態系を含めた環境の保護を重要課題とした現代のビジネスへとその恵みを変化させました。

今から遡ること半世紀と少々、カリフォルニアの崖と海の境界に「環境への順応」を大きく掲げた建築が、後世の私達にひとつの歴史を刻むこととなります。自然への尊厳とアイデアに溢れ、一切の驕りや加飾を感じさせず悠久の美しさをたたえるその建築は「Sea Ranch Condominium One」(シーランチ)、設計はチャールズ・ムーア率いるMLTW。現地はカリフォルニア空港からセスナで乗り付ける別荘地でもあり、今でも当時から受け継がれる設計思想により厳格な規制の中で少しずつ開発が進められています。シーランチで半世紀前から変わらず供給されているレッドウッドの外壁を、全く同じ製材所から今も日本に導入できていることは私たちテラシスの誇りのひとつになっています。

国内唯一のレッドウッド・ディストリビューターとして、ひとつの歴史の継承者として、私たちテラシスはどうかこの仕事がサステイナブルに、環境負荷を克服し、健全なビジネスとしてストレスなく次の世代に受け継がれることを願っています。

建材の市場にはレッドシダー(カナダ産、ヒノキ科の類似樹種)や国産の杉など、或いは比較的安価に入手できる魅力的な材が存在し、新建材という大別された選択肢も含め様々なモノが選べる時代になりました。その中のレッドウッドを担う私達のミッションは常にシーランチに息付くムーアの思想やインディアンの精神と共にあり、その極めて抜きん出た性能もさることながら、地球の歴史そのものを建築に落とし込むといったロマンとサステイナビリティの高い価値をひとりでも多くの方と共有できたらと思うのです。

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